TRPGを始めたばかりのころ、募集文やセッション中の会話で「GM」「KP」「DM」といったアルファベットの略語がたくさん出てきて、戸惑った経験はないでしょうか。
「全部同じ進行役のことらしいけれど、何が違うの?」「別の呼び方で呼んだら失礼になるのかな?」と疑問に思う方も少なくありません。
この記事では、TRPGの進行役を指すさまざまな呼び名の意味と、なぜ呼び方が分かれているのか、そしてセッション現場での呼びかけ方の基本について詳しく解説します。
進行役の呼び名がシステムごとに異なる理由
TRPGにおける進行役は、全体を総称して**GM(ゲームマスター)**と呼ばれるのが基本です。しかし、遊ぶシステム(ルールブック)の雰囲気や世界観に合わせて、専用の名称が用意されていることがよくあります。
呼び名が違うのは、単なる言葉の言い換えだけではありません。「そのゲームにおいて、進行役がどのようなスタンスでプレイヤー(PL)と向き合うべきか」という演出方針やテーマが込められているためです。
システム固有の呼び名を知っておくと、そのゲームが大切にしている空気感をより深く味わえるようになります。
代表的な進行役の呼び名と特徴
セッションでよく目にする代表的な呼び名を見ていきましょう。
GM(ゲームマスター)
もっとも広く使われている標準的な呼び名です。多くの国内TRPGシステム(『ソード・ワールド2.5』や『シノビガミ』など)で採用されています。
ゲームのルールを裁定する審判であり、物語の舞台を用意する演出家であり、全体の進行を管理する司会者でもあります。どのシステムであっても、広い意味で進行役を指す言葉として通じます。
KP(キーパー / キーパー・オブ・アーケイン・ロア)
『クトゥルフ神話TRPG』などで使われる呼び名です。正式名称は「秘神の知識の守護者(Keeper of Arcane Lore)」を意味します。
KPは単なる審判ではなく、「プレイヤーたちが踏み込む未知で恐ろしい世界の案内人」という立ち位置を持っています。恐怖や謎の真相を胸に秘め、探索者たちの選択に応じてその一部を開示していく役割を象徴した呼び名です。
DM(ダンジョンマスター)
世界最古のTRPGである『ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)』における進行役の呼称です。
冒険の舞台となる迷宮(ダンジョン)や世界そのものを創造し、モンスターやNPC(ノンプレイヤーキャラクター)を操って冒険者たちの前に立ちはだかる存在を意味しています。
NC(ネクロマンサー)
ダークファンタジーTRPG『永い後日談のネクロニカ』などで使われる独特の呼び名です。
プレイヤーたちが演じる少女たち(ドール)を過酷な世界へ突き落とし、試練を与える「悪意ある舞台装置」としての役割が強調されています。
その他の呼称
ほかにも、ナラティブ系システムでのMC(マスター・オブ・セレモニー)や、特定のシステムにおけるストーリーテラー、マスターなど、作品ごとに多彩な呼び名が存在します。
現場での呼びかけ方とマナー
セッション中、進行役に声をかけたいときに「どう呼べばいいか」で迷うことがあります。現場でのスムーズなコミュニケーションのコツをまとめました。
基本は「そのシステムの呼称+さん」で呼ぶ
もっとも自然なのは、その卓で遊んでいるシステムの呼び名に「さん」をつける形です。
- クトゥルフ神話TRPGなら「KPさん、質問してもいいですか?」
- ソード・ワールドなら「GMさん、判定をお願いします」
チャットのテキスト打ちでは「KP」「GM」と略して呼ぶ文化もありますが、音声セッション(ボイスセッション)では「KPさん」「GMさん」と敬称をつけるのが丁寧で好印象です。
呼び間違えてしまっても心配いりません
たとえばクトゥルフ神話TRPGの卓で、うっかり「GMさん」と呼んでしまったとしても、失礼にあたることは基本的にありません。
「GM」は進行役全般を指す共通語として全員に通じるため、意味はしっかり伝わります。言い間違いに気づいたら軽く「失礼、KPさん」と言い直す程度で十分です。過剰に恐縮する必要はありません。
呼び名が変わっても共通する「進行役の役割」
呼び名や世界観ごとの味付けは異なっても、進行役がセッション現場で担っている本質的な役割は共通しています。
- 世界の描写と状況の説明 プレイヤーキャラクター(PC)が今どこにいて、何が見えているのかを言葉で伝えます。
- ルールの適用と成否の判定 PCが試みた行動に対して、どのようなダイスロールが必要かを提示し、結果を裁定します。
- NPCのロールプレイ 案内人、協力者、あるいは敵対者として、PCたちと会話を交わします。
- 全員が楽しむための場づくり 特定のプレイヤーだけが取り残されないよう話を振ったり、時間配分を調整したりします。
進行役はプレイヤーと対立する「敵」ではなく、全員でひとつの物語を紡ぎ出すための「共同作業者」です。
初心者が進行役に相談するときのポイント
セッション中にルールが分からなくなったり、どう行動していいか迷ったりしたときは、遠慮せずに進行役を頼ってください。
- 「何がしたいか」を自分の言葉で伝える 「この技能は使えますか?」と聞くよりも、「部屋の机の引き出しを調べたいのですが、どの判定を振ればいいですか?」とやりたいことを伝えると、進行役も適切な提案がしやすくなります。
- 疑問は抱え込まずに早めに聞く 描写を聞き逃したときや状況が理解できないときは、「すみません、今の描写をもう一度確認してもいいですか?」と声をかけて大丈夫です。
用語の違いを正しく理解し、進行役と気持ちのよいコミュニケーションを取りながらセッションを楽しんでみてください。
